今回は、新規事業の初期の初期、事業のアイデアを上司や経営陣に提案するための資料作成についてのポイントをシェアします。これから事業を立ち上げていこうという新規事業開発のご担当者様はぜひお読みください。
承認を取るために、いちばん伝えたい結論

いきなり結論ですが、上司や経営陣にビジネスアイデアを伝え、最終的に理解してもらいたいことは「儲かるビジネスアイデアだ」ということですよね。会社によって社会への貢献や、ビジョンと合っているか、などもあるかと思いますが、まずは儲かるビジネスアイデアであるということが前提になると思います。そこで、儲かるビジネスということを伝えるために、「儲かる」とは何かを改めて確認しておきましょう。
儲かるとは、売り上げ金額がビジネスにかかるコストを上回って、利益が残る状態です。コストには生産コストのように変動コストもあります。先のラーメン屋さんの例で考えてみると従業員の人数は上限がありますが、顧客が増えるほど食材の仕入れコストや仕込みの工数、光熱費などは増えていきます。コストが増えても利益率が保たれ、売った分だけ利益が増えるのであれば儲かるビジネスと言えるでしょう。
とりわけ、経営陣にプレゼンをするのであれば、儲かることの根拠を明確に示す必要があります。ビジネスプランを提案されて、経営陣が気にするのは大きく以下のポイントです。

この点を明確に示すことで、ビジネスが儲かるということを伝えることができます。それではどのように示していくのがよいのか、次の章でご紹介します。
STEP1 事業計画書を作成

まずは、事業計画書を作ってみましょう。最初に考えやすいのは、上のグラフ縦軸要素であるコストでしょうか。生産や開発にかかるコストや人にかかるコストなど、内部要因が多いので想定しやすいと思います。
横軸である顧客数(販売計画)は市場ニーズなどの外部要因と価格の設定などの内部要因の両方に起因するので、とりあえず「こんな感じで売上げを伸ばしたい」という感じで考えておき、あとから市場分析が進むたび更新し現実に近づけていきましょう。
次の章では、横軸要素をしっかりと把握するためのビジネスの検証について紹介します。
STEP2 ビジネスの成立要件を検証

続いてのステップでは、提案するビジネスアイデアの成立要件についての仮説検証です。新規事業の提案を経験しているご担当者様は提案のたびに、「それ本当に売れるの?」と聞かれ返答に困っている方もいらっしゃるかも知れません。もちろん、アイデアの提案段階では市場でアイデア検証を行っているわけではなく、確実に売れると言い切れるアイデアはほとんどありません。しかし、どのようなことをしたらビジネスの成立が検証できるのか考えておき、検証方法を提示することで説得力が増し、提案が通りやすくなります。
検証すべき要件を整理
アイデア段階 / 仮説ベースのものを提案するためには、ビジネスの成立にどのような要素が必要なのか明らかにし検証方法も合わせて提示することで、より具体的な提案になります。

ラーメン屋さんの例で考えてみると、顧客獲得に関わるのはこのような要件でしょうか。④は内部的要因なので、事業計画で実証ができると考えると、①②③の要件を検証できるような検証(テストマーケティング)方法を提案しましょう。
STEP3 提案資料に落とし込む

いよいよ提案資料に落とし込む作業です。事業計画書で事業成長にかかるコストや時間を示し、ビジネス成立要件と検証方法を提案しましょう。新規事業提案では、提案内容について可否を判断させるための材料をしっかりを資料に落とし込むことも重要です。提案される側の立場からすると、ビジネスアイデアにどれくらいのリスクが伴うのか、ニーズや成長可能性があるのか、といったことが気になります。
「ニーズや成長可能性はあると思うけれど今は分からないので、正しいやり方で検証します。そのためにこれくらいの予算が必要です。やってみてダメならすぐ撤退するので、これ以上の予算はかかりません。」
といった具合にリスクと条件を明示することで、決裁者は提案に対して判断を下しやすくなります。

判断材料がなくビジネスアイデアの魅力だけを伝える提案をしてしまうと、決裁者はリターンの大きさはおろかリスクすら検討ができないため、判断が難しくなってしまいます。結果的に、分からないものに対しては提案を却下せざるを得ません。新規事業の提案を行う際は、決裁者に判断材料を与えビジネスの検証を行う必要性をきちんと検討してもらいましょう。

いかがでしたでしょうか。東海エイチアールでは東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)の地元大手・老舗・ベンチャー企業様を中心に幅広い業界・業種の新規事業開発に関わるご担当者様の実務サポートをさせていただいております。
ビジネスアイデアの発掘やご提案についてお悩みのご担当者様や、今回の話をもっと詳しく聞きたいと思っていただけた方は是非お気軽にお問い合わせください。